昨今日本経済は低下の一途をたどり、それに伴い失業率も一向に改善されておりません。
日本では安い賃金と生産性を高める為、人材はリストラされ生産拠点は海外へ移されております。
特に中国への依存度は高くその事が逆に中国の高度成長を招いております。
日本が50年かけて築き上げた技術や能力を何の努力もしないまま中国は同じ物を2〜3年で見事に完成する事が出来ました。
このままの情況が続けば技術大国日本の行く末は暗雲が立ち込めていくでしょう!
元々資源の無い日本は優秀な技術や能力そして堅実な経営が幸いし、世界第2位の経済大国へと成長いたしました。 しかし、その影には昭和の一桁や二桁つまり我々の世代である団塊の世代である人達の力による物が大いに影響しているとは誰もが認めている所です。 小生などを含む団塊の世代は諸先輩の意見を大いに取り入れ、又独自のアイデアと技術を巧みに屈指し現在の経済大国の礎を気づきました。
NHKの番組「プロジェクトX」を見るたびに同年代の人達の努力が良く分かります。 小生も日本ではじめて海上クルーズレストラン船を企画立案そして就航させました。 1980年代は我々年代の全ての人達が燃えておりました。 日本一、世界一、日本初、世界初の技術や企画をふんだんに日本や世界に発信して参りました。 その事は我々団塊の世代の誇りでもあります。
1990年代から始まったバブルの崩壊と言われる経済成長低下の始まりは単にその意味だけで解釈してよいのでしょうか? 小生は決してそうとは思いません。 10年以上経った現在でも大きな後遺症として日本経済の足かせとなっている不良債権にその大きな原因があると言えるでしょう!
その原因の源こそ大蔵省であり、当時の大蔵大臣であります。 そしてその直系とも言える大銀行でありその当時の頭取であります。
バブルといわれる時代、銀行は考えもつかないくらいの悪質な取引を繰り返しました。
千円一万円のお金をつめに火をともす思いで預金してきた預金者の預り金をさも自分の金であるかのごとく、ろくな審査もせずに貸し出しつづけました。
小生も1980年の終わり頃には大銀行数行より「お金をお貸ししたい、担保は無くても良い」等と随分と誘われた物です。
その頃から小生は日本のマネーゲームに少しずつ不安と疑問を呈し始めました。
小生の場合大病を患ったのがそのマネーゲームの終焉に近かったせいか、いさぎよく会社を部下に託しリタイヤする事が出来ました。 この事が現在まで小生を地上の楽園ニュージーランドにとどまり悠悠自適の人生を送る糧となった事は言うまでもありません。
しかし、同胞はそう言う訳には行きませんでした。
小生と多かれ少なかれ同じ規模の事業を展開していた人達の内三分の二はバブルの洗礼を受け忽然と姿を消しました。 現在も彼らの消息はわかりません・・・・・・。
その様な人達はバブルの時代色々な楽しみ方をし、人生味わった事もないような生活を一度は体験したのですから少しは罰があたっても当然だと思いますが、それ以外の汗水流して会社一筋に生きてこられた人たちの事を考えますと小生は自分がいかに幸せかと感じると同時に少しでもその様な同胞に対し最後の生き甲斐を感じてもらいたいといつも考えておりました。
そんな折、小生は考えを同じにする団塊の世代の人とめぐり合う事が出来ました。
その方はトヨタ自動車(株)ニュージーランドの社長である安間氏です。 彼は非常に優秀な人でトヨタ自動車本社においてもその辣腕さは知れ渡っておりました。
彼はニュージーランドトヨタの事業再編の使命を帯びニュージーランドに滞在しておりました。
小生は彼と話を進めるうちに小生とは違った考えを持ち、しかしながらその終点は同じでした。 二人が考えた事は我々団塊の世代の人達にもう一度夢を与えたいと考える事でした。 我々の世代が一生懸命築き上げた物が崩壊に近づこうとしている現在、後輩達はその事に気づく事無く黙って見過ごしております。
命をささげた会社もリストラと言う大義名分で我々世代を容赦なく切り捨ております。
そこで小生と安間氏はその様な人達が少しでも地上の楽園に近づく為のプロジェクト作りを考えました。 安間氏はニュージーランドの任期を後6ヶ月に残すだけになり我々はそのプロジェクト作りを完成へと近づけました。 彼はニュージーランド勤務を最後とし、そのプロジェクトに専念すべくトヨタの本社に対し企業家プログラムに新規申請書を提出する運びとなりました。
しかしそこに大きな問題が立ち上がりました。
それはトヨタ自動車の本社のトップが彼を手放す事をためらったからです。 彼は社内でも優秀な社員で彼が作成した海外プロジェクトは全て成功しております。
そんなわけで彼はトヨタ自動車定年後もトヨタ関連会社へ重役として出向する事になった訳です。
「シルバーライフ倶楽部」と名づけられたプロジェクト計画は完成し、土地の買収のみとなっていただけに小生も非常に残念でした。
しかし、安間氏より出向の任期が終わり次第又このプロジェクトを完成させたいと言う力強い返事を貰っている事が小生にとっても一つの支えになっております。
そのプロジェクトとは簡単に話ますと、我々団塊の世代がリタイヤした時にこの地上の楽園といわれるニュージーランドに人生の三分の一を暮して見ませんか?と言うものです。 もちろんそれには経費がかかるでしょう。 しかし、このプロジェクトは団塊の世代の人達が出せる範囲で企画されており、決して金持ちの為のプロジェクトではありません。 このプロジェクトに付いては興味がある方はご連絡ください。
今回の手記のテーマは「団塊の世代の憂鬱」と言うものでしたが、話をしているうちに憂鬱から希望に変わる事が小生が皆様方にお話したい一番大事な事です。
それでは今回はこれで失礼致します。
御精読ありがとうございました。
日海